ケーキ歳時記
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ケーキ歳時記

5月
巨大なデコレーションケーキ
卒業パーティーの花形

   
5月・6月は、アメリカでは卒業のシーズンである。アメリカの大学の授業は噂にたがわず大変で、死ぬほど勉強させられた。宿題、レポート、プロジェクト、テストの嵐といっていい。だから卒業は一大開放だ。

卒業祝いのパーティーで花形になるのが、特大の、派手なデコレーションを施したケーキだ。これは誕生祝いなどにも登場する。

台になるのはいろいろあるが、たいてい60センチから70センチ四方の巨大なスポンジケーキ。そこに砂糖が主原料のアイシング、またはバタークリーム様のものを塗って白いバックを作る。するとケーキは、まるで一枚の巨大なカードになる。

お店に頼むこともできるが、お祝いをする人が白いまま買って帰って、お祝いをされる人へのメッセージを自由に描きこむことも多い。これはスーパーマーケットで安く手に入る。さまざまな色のチューブ入りアイシングやチョコレートチップなどを使って、趣向を凝らしたデコレーションが作られる。

おめでとうとか、大好きよとかいう言葉、花の形に絞り出されたクリーム。いろいろな形のろうそくも揃っている。その人の好きなものや、動物のプラスチックのミニチュアをケーキの上に載せたりすることもある。

こういうにぎやかなケーキは、ショーケースの中で冷やされて澄ましているケーキとは似ても似つかない。祝う人の喜びをぎっしり載せて、全存在でおめでとう!と叫んでいる。そんな感じだ。

お菓子は、思いを伝えるのにもいい。思いを言葉にのせるだけではなく、甘く優しい味わいのお菓子にのせる。お菓子そのものが、幸せを媒介するものだから、嬉しい思いならますますよく伝わる。これは、いい考えだと思う。